新着論文紹介
Thymocyte Development of Humanized Mice Is Promoted by Interactions with Human-Derived Antigen Presenting Cells upon Immunization
ヒト化マウスの胸腺細胞の産生は、ヒト由来抗原提示細胞との相互作用によって促進される。
ジャーナル:International Journal of Molecular Sciences
著者:Takataro Fukuhara, Yoshihiro Ueda, Sung-Il Lee, et al.
責任著者:Yoshihiro Ueda
The department of Molecular Genetics, Institute of Biomedical Science, Kansai Medical University
https://doi.org/10.3390/ijms241411705
要約・インパクト
ヒト化マウスにおける免疫応答は、ヒト胸腺の移植やHLA遺伝子導入がなければ不十分である。一方、CD133陽性臍帯血細胞を骨髄内に注入して作成されたヒト化マウス(IBMI-huNSGマウス、Tezuka K, et al. Blood. 2014;123:346-355)では、HTLV-1に対する機能的な免疫応答を誘導できるが、その理由は明らかでない。そこで、本研究ではヒトおよびマウスのMHC拘束性の観点から、IBMI-huNSGマウスにおける胸腺細胞の発達を解析した。IBMI-huNSGマウスは正常な発達プロファイルを示したが、胸腺の構造異常が認められた。抗原でアジュバント免疫後、胸腺にHLA-DR陽性細胞が増加し、それに伴い胸腺細胞が増殖・促進された。HLA-DR中和抗体を用いて免疫したIBMI-huNSGマウスの胸腺を器官培養したところ、CD4陽性胸腺細胞がHLA-DR依存的に増殖し、また、成熟末梢T細胞は、ヒト末梢血単核細胞と共培養したところ、アロ反応性増殖を示した。免疫IBMI-huNSGマウスの胸腺の生体イメージングでは、ヒト由来胸腺細胞と樹状細胞(DC)がRap1活性化を伴う相互作用が観察された。これらのことから、ヒト化マウスにおいてヒトT細胞が機能的に働くには、ヒト胸腺T細胞がヒトのHLAによって選択され分化する必要があり、さらに免疫によって胸腺内のHLA-DR陽性細胞の増加により、HLA選択されるT細胞の産生が促進できる可能性を示している。












