新着論文紹介
Gene expression and TCR amino acid sequences selected by HLA-A02:01-restricted CTLs specific to HTLV-1 in ATL patients
HLA-A02拘束性Tax特異的CTLのT細胞受容体の特徴
ジャーナル:British Journal of Haematology
著者:Machiko Kusuda, Hideki Nakasone, Kazuki Yoshimura, et al.
責任著者:
楠田待子 自治医科大学附属さいたま医療センター血液科
仲宗根秀樹 自治医科大学分子病態治療研究センター領域融合治療研究部・自治医科大学附属さいたま医療センター血液科
神田善伸 自治医科大学附属さいたま医療センター血液科
https://doi.org/10.1111/bjh.18918
【要約】
成人T細胞性白血病患者(ATL)の実際の患者検体を用いて、HTLV-1の抗原の一つであるTaxに着目し、Tax特異的なHLA-A02:01拘束性細胞傷害性T細胞(Tax-CTL)の特性を検証しました。Tax-CTLのT細胞受容体α鎖(TCRa)およびβ鎖(TCRb)の超可変領域(CDR3)を調べたところ、使用されているV領域、J領域遺伝子の組み合わせに偏りがあることがわかりました。さらに、HLA-A02 Tax-CTLのCDR3には、α鎖で「DSWGK」、β鎖で「LAG」といった特徴的なアミノ酸モチーフが、複数の患者で共通して認められました。また、TCRβ鎖にBV28遺伝子ファミリーとCDR3に「LAG」のアミノ酸モチーフを有する細胞が、Tax抗原ペプチドと高い結合力を示すことが機械学習ツールを用いてわかりました。特に、長期生存者では、高い結合力を有するTax特異的細胞傷害性T細胞が多く検出される傾向があることもわかりました。
【インパクト】
一般的に結合力が強いと細胞傷害性も高いとされます。このため、長期生存者の中の細胞傷害性の強いT細胞を同定し、詳しくその特性を調べることで、TCR遺伝子導入T細胞などの新規の細胞免疫療法につながる可能性が期待されます。












