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Shikonin Induces ROS-Dependent Apoptosis Via Mitochondria Depolarization and ER Stress in Adult T Cell Leukemia/Lymphoma

シコニン(Shikonin)はミトコンドリア脱分極と小胞体ストレスを介したROS依存性アポトーシスを成人T細胞白血病/リンパ腫に誘導する

ジャーナル:Antiocidants
著者:Boonnate P, Kariya R, and Okada S.
責任著者:熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター 造血・腫瘍制御学
https://www.mdpi.com/2076-3921/12/4/864

要約・インパクト

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)は、高齢のヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)キャリアの一部で発症するT細胞性悪性腫瘍である。ATLLは治療抵抗性で予後不良であり、 新規治療法の開発が必要である。本研究では、ナフトキノン誘導体であるShikonin(SHK)のATLLに対する効果を検討した。SHKは、本邦では万葉時代から愛用される生薬であるムラサキ(紫根)の主成分であり、紫根は紫雲膏の主成分である。SHKは活性酸素種(ROS)の生成、ミトコンドリア膜電位の喪失、小胞体(ER)ストレスの誘導を伴うATLL細胞のアポトーシスを誘導した。また、ROSスカベンジャーであるN-アセチルシステイン(NAC)処理により、ミトコンドリア膜電位の喪失とERストレスの両者が阻害され、ATLL細胞のアポトーシスが防止された。これは、ROSがミトコンドリア膜電位の破壊とERストレスを介して、SHKによるATLL細胞のアポトーシスを誘導することを示している。ATLL移植マウスモデルにおいて、SHK治療は顕著な副作用を伴わずに腫瘍の成長を抑制した。これらの結果は、SHKがATLLに対する強力な抗腫瘍剤となり得ることを示唆している。

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