新着論文紹介
Cord blood is a suitable donor source of allogeneic hematopoietic cell transplantation for adult T-cell leukemia-lymphoma: a nationwide retrospective study
臍帯血は成人T細胞白血病/リンパ腫に対する同種造血幹細胞移植の適切なドナー源である:全国規模後ろ向き研究
ジャーナル:Bone Marrow Transplant 58, 462-464 (2023).
著者:Masahito Tokunaga, Nobuaki Nakano, Shigeo Fuji, et al.
責任著者:Department of Hematology, Imamura General Hospital, Kagoshima, Japan
https://www.nature.com/articles/s41409-023-01919-3
要約・インパクト
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)に対する同種造血細胞移植(HCT)における臍帯血移植(CBT)は、これまで他のドナー源と比較して予後が悪いと報告されていた。迅速なHCTが必要なATLに対してCBTが日本ではその後も多く行われおり、日本の全国的なデータ(TRUMP)を用いて再評価した。2008年から2017年の間に初回allo-HCTを受けたATL患者のデータを用いて、CBT群と非CBT群の間で治療選択バイアスを最小限に抑えるため、傾向スコアマッチング(PSM)解析を行った。解析は2008-2012年と2013-2017年の2期間に分けて行った。2008-2012年コホートのPSM解析において、CBT群の2年全生存率(OS)は非CBT群より有意に低く(30.2% vs. 40.1%、P=0.010)、2年移植関連死亡率(TRM)はCBT群で有意に高い結果だった(45.6% vs. 33.8%、P=0.020)。2013-2017年コホートは前コホートより3歳と有意に高齢化していた。2年TRMが非CBT群と同程度に改善した結果(36.4% vs. 33.5%、P=0.806)、CBT群の2年OSは非CBT群と比べて同程度となった(28.0% vs. 35.7%、P=0.273)。改善の要因として、2013-2017年期では寛解でのHCTの増加、抗HLA抗体検査の実施増加、低強度前処置レジメンの増加などが観察され、CBT群でのHCT手技の改善がTRMの減少に寄与したと考察された。本研究は、ATLに対するCBTのTRMとOSが、患者の高齢化にもかかわらず改善したことを示している。CBTがATLに対するHCTの適切な代替ドナー源であることを示唆している。












