新着論文紹介
Reprogramming of pyrimidine nucleotide metabolism supports vigorous cell proliferation of normal and malignant T cells
T細胞の増殖を支えるピリミジンヌクレオチド代謝変換
ジャーナル:Blood advances
著者:Tatsuro Watanabe, Yuta Yamamoto, Yuki Kurahashi, et al.
責任著者:佐賀大学 医学部 創薬科学共同研究講座
(現 Meiji Seikaファルマ株式会社)
https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2023011131
要約・インパクト
本研究において我々は、ウリジン-シチジンキナーゼ2(UCK2)を介した正常T細胞およびATL細胞におけるピリミジンヌクレオチド生合成の代謝変換を明らかにした。UCK2はシチジンやウリジンおよびその類似体のリン酸化を触媒する。我々は、UCK2がHTLV-1感染細胞において過剰発現することを見出し、さらにTCRシグナルの活性化が、正常T細胞においてUCK2の発現を誘導することを明らかにした。また我々は、UCK2発現を欠くアザシチジン耐性(AZA-R)細胞株を樹立しており(Int J Cancer. 2022)、AZA-R細胞はin vitroで正常に増殖するが、UCK2ノックダウンはATL細胞の増殖を阻害した。AZA-R細胞は、ピリミジンヌクレオチドのde novo合成の律速酵素であるDHODHの阻害剤に対してより感受性が高く、salvage合成を阻害するジピリダモールに対してより耐性を示した。これは、AZA-R細胞がde novoピリミジンヌクレオチド生合成を増加させることでUCK2喪失に適応していることを示唆している。ピリミジン生合成の微調整が、正常T細胞とATL細胞の双方の活発な細胞増殖を支えていると考えられる。












