新着論文紹介
Impact of GVHD on lymphoma progression: Nationwide study from Japanese Society for Transplantation and Cellular Therapy
GVHDがリンパ腫進行に及ぼす影響:日本造血・免疫細胞療法学会による全国調査
ジャーナル:British Journal of Haematology
著者:Mizuki Watanabe, Junya Kanda, Takahiro Fukuda, et al.
責任著者:Department of Hematology, Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto, Japan
https://doi.org/10.1111/bjh.19041
要約・インパクト
本研究は、日本造血・免疫細胞療法学会の移植データベースを用い、2003〜2017年に同種造血幹細胞移植を受けた非ホジキンリンパ腫(NHL)患者2204例を対象に、移植後の急性(aGVHD)および慢性GVHD(cGVHD)がリンパ腫進行や生存に与える影響を検討した大規模後方視的解析である。解析の結果、全体集団ではaGVHD/cGVHDと再発リスクの明確な関連はみられなかったが、疾患制御状況やリンパ腫サブタイプによっては顕著な影響が示された。具体的には、完全寛解例ではGrade I-IIのaGVHDが特に成熟T/NK細胞リンパ腫において再発抑制効果を示し、また成熟アグレッシブB細胞リンパ腫では広範型cGVHDが進行抑制と関連した。一方で、重度のGVHDはいずれの群でも生存率を悪化させ、移植関連死亡率を高める要因であった。さらに、限局型cGVHDは無増悪生存や全生存の延長と関連し、GVL効果と免疫再構築の両面から良好な影響をもたらす可能性が示唆された。本研究は、GVHDとGVL効果の関連をリンパ腫サブタイプや寛解状態に応じて精緻に評価した初めての全国規模研究であり、移植後管理におけるGVHD制御の重要性を強調するとともに、リンパ腫に対する移植戦略の最適化に大きな示唆を与えるものである。












