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Development of reference material with assigned value for human T-cell leukemia virus type 1 quantitative PCR in Japan
HTLV-1定量PCRの参照品の開発

ジャーナル: Microbiology and Immunology 2018; 62: 673-676. doi: 10.1111/1348-0421.12644
著者: Kuramitsu M. et al.
所属: 国立感染症研究所
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30125970

要約

HTLV-1プロウイルスの定量PCR(quantitative PCR, qPCR)は、HTLV-1感染の検査やHTLV-1関連疾患のリスク評価のために行われる。本研究では、HTLV-1 qPCRの標準化のための参照品を開発した。TL-Om1細胞をJurkat細胞で希釈した凍結乾燥品を準備し、デジタルPCRで参照品のプロウイルス量(PVL)を定量し、2.71 copies/100cellsとした。国内の9施設が参加し、各施設の定量法で参照品のPVLを測定したところ、1.08-3.49 copies/100cells(最大施設間差は3.2倍)であった。参照品の表示値を使い、測定結果を補正することで、施設間差を縮小させることができると期待できる。

インパクト

HTLV-1定量PCRは、施設間で測定値が大きく異なることが問題となっている。測定対象が末梢血単核球(細胞)から抽出したゲノムDNAであることから、細胞で標準物質を準備することが望ましいと考えらえる。本研究ではTL-Om1細胞を使って絶対値に極めて近い値を定めたHTLV-1定量PCR用の参照品を開発することができた。今後は、様々な施設でこの参照品を使用することが可能となり、国内でHTLV-1定量PCRの標準化の運用が可能となる。

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