新着論文紹介
CARD11 mutation and HBZ expression induce lymphoproliferative disease and adult T-cell leukemia/lymphoma
CARD11変異とHBZ発現はリンパ増殖性疾患および成人T細胞白血病/リンパ腫を誘導する
ジャーナル:communications biology
著者:Takuro Kameda, Kotaro Shide, Ayako Kamiunten et al.
責任著者:宮崎大学医学部 内科学講座 血液・糖尿病・内分泌内科学分野
https://doi.org/10.1038/s42003-022-04284-x
要約・インパクト
ATLでは、HTLV-1 bZIP factor(HBZ)の恒常的発現に加え、CARD11などのTCR-NF-κB経路の遺伝子異常が約90%でみられる。本研究ではCD4+T細胞特異的にCARD11(E626K)変異体および/またはHBZを発現するトランスジェニックマウスを作成し、ATLの病態形成機序を検討した。CARD11変異とHBZの両者を発現する2重異常マウスでは、単独異常のマウスと比較して、個体レベルでCD4+T細胞の増加を認め、多臓器へのリンパ球浸潤、末梢血での異常リンパ球の出現を伴う致死的なリンパ増殖性疾患を発症した。また、2重異常CD4+T細胞ではnon-canonical NF-κB経路、IRF4 target、BATF3/IRF4/HBZ transcriptional network、MYC targetの活性化がみられ、さらにはヒト急性型ATLで活性化している遺伝子セットの約7割の活性化がみられた。これらの結果から、CARD11(E626K)変異体とHBZが協調的にATLの分子基盤を形成することが明らかになった。急性型ATLでみられるCD4+T細胞の爆発的増殖が生じる機序についてさらなる研究を進めている。