新着論文紹介
Increasing horizontal transmission of human T-cell leukemia virus type 1 in adolescents and young adults in Japan.
ジャーナル:J Clin Virol (2022)
著者:Yasuko Sagara, Hitomi Nakamura, Masahiro Satake, et al.
責任著者:Japanese Red Cross Kyushu Block Blood Center
日本赤十字社九州ブロック血液センター
https://doi.org/10.1016/j.jcv.2022.105324
要約・インパクト
日本ではヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)抗体の妊婦健診導入以降、水平感染が感染の主な経路となることが予想される。HTLV-1水平感染の現状を把握するために2013年-2021年の5,017,916人の複数回献血者を追跡調査した。研究期間中、合計 19,244,604 人年あたり 457 人の陽転者 (男性 203 人、女性 254 人) が観察された。100,000 人年あたりの陽転数は、男性 1.54 人、女性4.21 人で、前回調査に比較して、青年期および若年成人世代では男女ともに新規感染者数の著増が見られ毎年 2,800 件を超える新規 HTLV-1 感染が発生していると推定された。ガイドラインの策定、HTLV の定期検査への組み込み、適切な情報提供など、HTLV-1 水平感染に対する早急な対応がなければ、日本で新規 HTLV-1 感染が増加し続け、世界的な感染源となることが深く懸念される。
なお、本論文掲載後の解析(JMV2023)で妊婦悉皆検査導入による献血者集団からのHTLV-1陽性者離脱を補正する係数を用いることより、本論文で得られた水平感染者数は年間4,751例と推測されることが明らかになった。