新着論文紹介
The Association of Increase of Human T-Cell Leukemia Virus Type-1 (HTLV-1) Proviral Load (PVL) With Infection in HTLV-1-Positive Patients With Rheumatoid Arthritis: A Longitudinal Analysis of Changes in HTLV-1 PVLs in a Single Center Cohort Study.
関節リウマチ(RA)患者におけるHTLV-1プロウイルス量(PVL)の増加と感染リスクの関連性:単一施設コホート研究による縦断的解析
ジャーナル:Frontiers in Immunology. 2022 May 6;13:887783.
著者:Naoki Iwamoto, Takeshi Araki, Ayaka Umetsu et al.
責任著者:長崎大学大学院医歯薬総合研究科先進予防医学講座リウマチ膠原病内科学
佐世保中央病院
https://doi.org/10.3389/fimmu.2022.887783
要約・インパクト
本研究は、HTLV-1陽性の関節リウマチ(RA)患者におけるHTLV-1プロウイルス量(PVL)の変化と感染リスクとの関連を検討することを目的とした。41名のHTLV-1陽性RA患者を対象に、RAの疾患活動性および感染発生率との関連を解析した。その結果、観察期間中にHTLV-1 PVLの平均値は有意に変化せず、RAの疾患活動性にも影響を与えなかった。しかしながら、新規に生物学的製剤・分子標的薬(b/tsDMARDs)を導入した患者4名のうち3名でHTLV-1 PVLが増加し、感染症(膀胱炎、副鼻腔炎、蜂窩織炎など)が発生した。単変量解析により、HTLV-1 PVLの増加と感染リスクの上昇が関連することが示唆された。本研究により、HTLV-1陽性RA患者における「静かなる感染リスク」の存在が明らかになり、特にb/tsDMARDs開始後に慎重な経過観察が必要であることを示唆された。