新着論文紹介
Epidemiology of adult T-cell leukemia-lymphoma in Japan: An updated analysis, 2012-2013
本邦における成人T細胞白血病リンパ腫の疫学:アップデート解析2012-2013
ジャーナル:Cancer Science 2021;112:4346-4354.
著者:Shigeki Ito, Masako Iwanaga, Nosaka K, et al.
責任著者:岩手医科大学 内科学講座 血液腫瘍内科分野
https://doi.org/10.1111/cas.15097
要約・インパクト
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は日本特有のT細胞性腫瘍である。これまで全国レベルの疫学調査が行われてきたが、本研究では4つの全国レベルの疾患登録データ(日本血液学会血液疾患登録、日本皮膚悪性腫瘍学会疾患登録、国立がん研究センターがん登録、前回のATL疫学調査協力施設)を用いて、2012年から2013年に新規に診断されたATL患者の疫学調査を実施した。この期間に2,614名のATLが新たに診断され、117診療科から1,042名の患者が登録された。このうち984名が解析対象となった。診断時の年齢中央値は69歳であり、発症年齢の高齢化が認められた。病型では急性型が最も多かったが、70歳以上ではリンパ腫型の割合が70歳未満の群に比べて高かった。大都市圏のATL患者の多くは九州・沖縄出生者であり、この結果は前回調査と同様であった。HTLV-1流行地区から非流行大都市圏への流入が示唆された。本研究では4つの登録データベースから比較的大多数での解析を行なうことができたが、今後、継続的な疫学調査研究のためには、より洗練された精度の高いデータベースの構築が必要である。