ごあいさつ

東京大学の渡邉より、第4回の「HTLV-1研究会」の開催にあたりHTLV-1研究会会長としてご案内申し上げます。

 皆様におかれましては、既にご承知の事と思いますが、昨年から今年にかけて、HTLV-1とその関連疾患関について、医療行政的に大変大きな動きがありました。昨年9月に菅首相の決断で首相官邸に「HTLV-1特命チーム」が立ち上げられ、年末までに「HTLV-1総合対策」が策定されました。これにより、妊婦に対して全国一律にHTLV-1抗体検査が実施されることとなりました。したがって、厚生労働省や自治体を中心としてHTLV-1に対する啓発活動や相談体制の整備拡充が進められております。また、本年5月には厚生労働科学研究費の中に、総額10億円規模の「HTLV-1関連疾患研究領域」が設定され、6月に今年度分の追加募集が行われました。いずれも、少し以前の状況からすると夢の様な状態ですが、これらの動きはいずれも、関係の医師・研究者および患者/感染者の方々の地道な努力の賜物と考えております。

 今年の当研究会は、第25回国際比較白血病学会・シンポジウムに引き続いて開催されます。この学会の最終日(9月17日)にはHTLV-1および関連疾患の国際シンポジウムが開催され、基礎から臨床までの第一線の国内外の研究者からの発表があります。国際的な視野から当分野の研究の進展と課題を把握する絶好の機会であると思います。

 この領域では、公衆衛生、疫学、臨床および基礎研究のいずれにおいてもまだまだ多くの解決すべき課題があります。昨今の様に、社会的な注目度が高まり、行政側の対応も大きく変化して来たこの機会に、研究を更に発展させて、感染の予防と疾患の発症予防・治療に繋げることが期待されていると考えます。従って、我々研究者および臨床家の責任はさらに重大であると、気持ちを引き締めております。

 当研究会は今回も、昨年同様に、文部科学省および厚生労働省の科学研究費による幾つかのHTLV-1関係の班研究の班長から各研究班の研究計画あるいは進捗状況を報告して頂く予定です。

 関係各位におかれましては、研究成果の発表と情報交換に積極的に参加されます事を期待しております。